今日からの【一日一景】はところ変わって台湾。
私のライフワークである神社跡についてご紹介していこうと思います。
桃園神社は台湾で唯一社殿が残存している神社です。現在は現役の「忠烈祠」ながら「神社文化園」として保存されており、手軽に「日本風」を味わえるスポットとして若い台湾人も多く訪れています。
鳥居は笠木が外されて「拍子抜け」した姿ですが、これは戦後桃園神社が抗日英雄を祀る忠烈祠になったときに「神社」であることを無くすために取られました。
境内には木造の宿舎や宝器庫、手水舎、社務所、神馬、狛犬などがあり、その景色は日本と変わりません。
丁寧なことに手水舎は水道が引いてあり柄杓もあって、「神社の作法」を学ぶことができます。
石段を登ると立派な楼門、その奥に社殿、本殿と続きます。本殿は中国式の香炉に賽銭箱。本殿左右に忠烈祠の位牌。
ここで拝むべきかっていうのは非常に高度な政治問題(?)なわけでありありますが、私は「これからも日台の平和と友好が続くように」と祈っていくことにしています。
本殿の前まで自由に行けるようになっているのが日本の神社と違うところで、本殿建築を見ることができるのは貴重な機会ですね。
桃園神社が落成したのは1938年(昭和16年)で、戦後は忠烈祠に。神社が忠烈祠に替えられていった話はいつかしようと思いますが、1970年くらいまでは各地に神社形忠烈祠はけっこう残っていました。
フル木造の神社というのは時の流れには非常に脆いわけで、台風や火災でかなりの神社跡が破損して撤去されました。さらに日台断交では日本遺跡の多くが破壊の憂き目に遭いました。
そんな中でなぜか桃園神社は二度の修復を経て生き残ったんですね。一度目は1985年に桃園市が取壊しを発表したものの、学術界が歴史的価値を主張しそのまま修復されました。二度目の修復は2015年で、こちらは「台湾」という歴史を見直す時代の潮流の中で後生に保存するために大修復が行なわれました。そいうわけで桃園神社は今もっとも保存度が高く、もっとも美しい神社として残されているわけです。
場所は桃園市のはずれで、桃園空港から車で30分。バスだと乗り換えが必要なので、統聯客運706バスで台鉄桃園駅からタクシーに乗るのが安いかな。
今日も多くの日本人が桃園國際空港から台湾に入国するわけですが、そのまま桃園を素通りして台北まで行ってしまうのは本当にもったいないなと思いますね。
せっかくなのでトランジットで5時間もあれば、ぜひ桃園神社に寄って日台の歴史を感じてほしいところです。